励起エネルギー計算のための量子古典ハイブリッドアルゴリズム

nakanishi-1.png近年ノイズがありスケールしない量子コンピュータと古典コンピュータを組み合わせて計算を行う量子古典ハイブリッドアルゴリズムが注目されている。ハミルトニアンの基底状態を求める変分量子固有値ソルバー(VQE)はその代表例である。その他にも量子化学計算や組合せ最適化などの分野で幅広い応用が考えられている。我々は、励起状態を効率的に計算する部分空間変分量子固有値ソルバーを提案した。この手法により、VQEの適用範囲を励起状態およびそれに関連する特性まで広げることができる。加えて、量子古典ハイブリッドアルゴリズム内部で使用する新しい最適化アルゴリズムを提案した。これは、量子古典ハイブリッドアルゴリズムに用いる変分量子回路のパラメータに対する出力特性を活かした最適化アルゴリズムであり、検証実験ではVQEにおいて一般的に使われている最適化アルゴリズムを大きく超える性能を示した。これらのアルゴリズムは、量子古典ハイブリッドアルゴリズムの実用化を大きく加速すると期待できる。

  • Ken M. Nakanishi, Kosuke Mitarai, Keisuke Fujii,
    Subspace-search variational quantum eigensolver for excited states,
    preprint: arXiv:1810.09434.
  • Ken M. Nakanishi, Keisuke Fujii, Synge Todo,
    Sequential minimal optimization for quantum-classical hybrid algorithms,
    preprint: arXiv:1903.12166.