キタエフ物質の基底状態

kitaev近年、スピン軌道相互作用による異方的な相互作用を持つ物質群が注目を集めている。これらの物質の一部では有効スピンJ=1/2が2次元ハニカム格子を形成し、キタエフ相互作用と呼ばれる異方的なスピン相互作用が存在する場合がある。キタエフ相互作用のみが存在するS=1/2量子スピン模型(キタエフ模型)の基底状態は厳密に非磁性のスピン液体状態になっている。我々は、テンソルのつながりで波動関数を効率的に表現するテンソルネットワーク表現により、キタエフ模型の基底状態を非常に精度良く表せることを示し、キタエフスピン液体がString Gasと呼ばれる構造を持っていることを明らかにした。また、テンソルネットワーク表現を変分波動関数として用いることにより、キタエフ模型近傍の基底状態を計算し、Na2IrO3の近傍で多様な磁気秩序状態が安定化することや、わずかな非対角相互作用の影響でスピン液体が不安定になることを可能性を明らかにした。

  • Tsuyoshi Okubo, Kazuya Shinjo, Youhei Yamaji, Naoki Kawashima, Shigetoshi Sota , Takami Tohyama, Masatoshi Imada,
    Ground-state properties of Na2IrO3 determined from an ab initio Hamiltonian and its extensions containing Kitaev and extended Heisenberg interactions,
    Phys. Rev. B 96, 054434 (2017).
  • Hyun-Yong Lee, Ryui Kaneko, Tsuyoshi Okubo, Naoki Kawashima,
    Gapless Kitaev Spin Liquid to Classical String Gas through Tensor Networks,
    preprint: arXiv:1901.05786.