キタエフ物質の基底状態

kitaev近年、スピン軌道相互作用による異方的な相互作用を持つ物質群が注目を集めている。Na2IrO3やα-RuCl3はその代表例であり、これらの物質では有効スピンJ=1/2が二次元ハニカム格子を形成し、キタエフ相互作用と呼ばれる異方的なスピン相互作用が存在している。キタエフ相互作用のみが存在するS=1/2量子スピン模型(キタエフ模型)の基底状態は厳密に非磁性のスピン液体状態になっている一方で、実際の物質にはハイゼンベルグ相互作用や非対角相互作用などが存在しており、これらの影響の理解が重要になる。我々は、波動関数をテンソルのつながりで効率的に表現するテンソルネットワーク変分法を用いて、キタエフ模型近傍の基底状態を計算し、Na2IrO3の近傍で多様な磁気秩序状態が安定化することを明らかにした。また、非対角相互作用の影響を詳細に計算し、厳密対角化法や密度行列繰り込み群法で予想されていたよりも、スピン液体の安定領域が狭くなる可能性を明らかにした。

  • Tsuyoshi Okubo, Kazuya Shinjo, Youhei Yamaji, Naoki Kawashima, Shigetoshi Sota, Takami Tohyama, Masatoshi Imada, Ground-state properties of Na2IrO3 determined from an ab initio Hamiltonian and its extensions containing Kitaev and extended Heisenberg interactions, Phys. Rev. B 96, 054434 (2017).