フラストレート磁性体の磁場中秩序

okubo-1.png相互作用にフラストレートションが存在するフラストレート磁性体は、基底状態のみならず磁場中でも興味深い秩序を示す。我々は、フラストレートした相互作用を持つS=1/2正方格子ハイゼンベルグ磁性体と考えられる電荷移動塩において、飽和磁化の1/2の磁化近傍で、大きな量子ゆらぎが生じる事を明らかにした。さらに、テンソルネットワーク変分法により、この大きな量子ゆらぎは、この物質近傍の理想化された模型で生じる、磁化プラトーが起源となっていることを示した。また、カゴメ格子S=1/2反強磁性体、Cd-kapellasitedsでは、磁場中で複数の磁化プラトーが生じ、それらはマグノンが様々な結晶格子を形成したものとして理解できることを明らかにした。

  • H. Yamaguchi, Y. Sasaki, T. Okubo, M. Yoshida, T. Kida, M. Hagiwara, Y. Kono, S. Kittaka, T. Sakakibara, M. Takigawa, Y. Iwasaki, Y. Hosokoshi,
    Field-enhanced quantum fluctuation in an S=1/2 frustrated square lattice,
    Phys. Rev. B 98, 094402 (6pp) (2018). (preprint: arXiv:1808.06812)
  • R. Okuma, D. Nakamura, T. Okubo, A. Miyake, A. Matsuo, K. Kindo, M. Tokunaga, N. Kawashima, S. Takeyama, Z. Hiroi,
    A series of magnon crystals appearing under ultrahigh magnetic fields in a kagomé antiferromagnet,
    Nat. Comm. 10, 1229 (7pp) (2019).