機械学習を用いた強相関電子系の分子動力学

g_r.jpg近年、機械学習を用いた第一原理的計算の高速化・大規模化が大きな注目を浴びている。多くの現実的な物理系の計算では、電子相関が重要となり計算コストが高くなるため、構造最適化が困難な問題となっている。そこで我々は強相関電子系にグッツウィラー近似を用いたイオンポテンシャルを機械学習し、分子動力学による構造最適化を可能とした。その結果、直接計算が困難な 2700 原子系に対して、100万倍程度の高速化を実現した。この新しいアプローチを用いて、連続空間上のハバード模型における金属・モット絶縁体クロスオーバーを明らかにした。機械学習による高速化は様々な手法と組み合わせることが可能で、本研究は大規模強相関電子系計算の先駆的研究と言える。

  • Hidemaro Suwa, Justin S. Smith, Nicholas Lubbers, Cristian D. Batista, Gia-Wei Chern, and Kipton Barros Machine learning for molecular dynamics with strongly correlated electrons (preprint: arXiv:1811.01914)