テンソルネットワークくりこみ群
テンソルネットワークを用いた実空間くりこみ群法は、多体スピン系に対する数値計算手法として近年広く用いられてきている。テンソルくりこみ群法では大規模な古典系/量子系の物理量を効率的に計算することができる。しかしながら、Tensor Renormalization Group (TRG)やHigher-Order Tensor Renormalization Group (HOTRG)といった既存の手法では、高次元になるほど計算量が膨大になってしまうという問題点があった。この問題を解決するために、既存手法に比べて計算量が低い手法や、同じ計算時間でより精度の高い複数の手法を開発してきた。我々の提案したAnisotropic Tensor Renormalization Group (ATRG)では、3次元量子系など高次元系における計算量を劇的に減らすことができる。さらに、テンソルネットワークをテンソルを頂点上だけでなく頂点を結ぶ線上にも置いた形に拡張することで、実空間くりこみ法の精度を、既存の同程度の計算時間を要する数値計算手法に比べて100倍程度高めることに成功した。この手法は一般のテンソルネットワークに対して適用可能である。また、ランダム系やフラストレート古典スピン系へのテンソルネットワークの応用についても研究を進めている
- Daiki Adachi, Tsuyoshi Okubo, Synge Todo, Anisotropic tensor renormalization group, Phys. Rev. B 102, 054432 (7pp) (2020). (preprint: arXiv:1906.02007)
- Daiki Adachi, Tsuyoshi Okubo, Synge Todo, Bond-weighted Tensor Renormalization Group, preprint: arXiv:2011.01679