1イオン異方性を持つハルデン鎖の基底状態
S=1の反強磁性スピン鎖におけるハルデン相は対称性に保護されたトポロジカル(SPT)相の代表例である。実際の物質において、このようなスピン系を考える場合、一軸異方性 D(Sz)^2やrhombic異方性E((Sx)^2-(Sy)^2)という1イオン異方性を考慮した基底状態の理解が重要になる。これまでは主に、一軸異方性の影響を中心に研究が行われ、ハルデン相の他にS_zの反強磁性秩序相、Large-D相が存在することが知られていた。我々は、密度行列繰り込み群法を用いて、rhombic異方性も考慮した場合の基底状態相図を明らかにし、わずかでもrhombic異方性が存在すると、ハルデン相とLarge-D相の間に中間相(SxまたはSyの反強磁性秩序相)が生じることを示した。また、エネルギー準位の交差により相転移点を決定するレベルスペクトロスコピーにより、rhombic異方性がない場合のハルデン相とLarge-D相の相境界を6桁の精度で精密に決定した。
- Yu-Chin Tzeng, Hiroaki Onishi, Tsuyoshi Okubo, Ying-Jer Kao, Quantum phase transitions driven by rhombic-type single-ion anisotropy in the S = 1 Haldane chain, Phys. Rev. B 96, 060404(R) (2017).